■地域課題解決起業支援セミナーy²advanced 休日コース①
山梨県立やまなし地域づくり交流センターは、6月25日(土)、令和4年度の「地域課題解決起業支援セミナー y²advanced」(ワイスクエア・アドバンスド)の休日コースをスタートしました。
地域課題解決セミナーy² advancedでは全5回のプログラムを通じて、地域課題解決におけるアイディアを仲間と話し合い、多様なステークホルダーとの連携を通して、解決における一歩を個々が踏み出すことを目的としています。
休日コースの第1回目である今回は「想いを共有しよう」をテーマに1人1人がやりたいことを話し、なぜそれをやりたいと思ったか、根底にある課題を明らかにしていきました。そして、その課題はなぜ生じているのか、どんな解決方法があるのかについてもグループディスカッションを重ねました。私たちのグループでは計四つの課題があがりました。
まず、地域住民同士の積極的な関わり合いがないという課題です。そうした事態を招いている原因としては情報は人との関わりが無くとも、容易にインターネットで入手できるということ、そもそも山梨という地域に興味をそそるものがなく、都市部へ行ってしまう若者が多いという点です。そのための解決方法として、地域のコミュニティスペースとしての役割も担った「スキ」を集めたカフェを開店するという意見があがりました。こうした場所があることによって、地域住民たち同士のコミュニケーションができる他、学生たちの自習スペースの確保にも繋がります。
二つ目の課題として、地域産業の伝統衰退が進んでいるという課題があがりました。具体的には障子紙のシェアNo. 1であり、1000年以上の歴史を誇る市川和紙において、障子紙の需要が減っていることにより、伝統文化の衰退が進んでいることがあげられました。同じ和紙文化をもつ町、岐阜県の本美濃紙や島根県の石州半紙がユネスコ無形文化遺産に登録され、地元をあげた和紙文化の継承が進んでいるなかで、市川三郷町でそのようにならない理由としては、地域住民が和紙そのものの価値に気づいていない、といったことが挙げられました。そのための解決策として、和紙に関連したイベント(空飛ぶランタン祭り)を企画し、地元に発信することで、まず地元住人に市川和紙の魅力を知ってもらい、地元住人から和紙の魅力を発信してもらうという解決策があがりました。しかし、その解決方法に関する意見として、そもそも伝統や文化の「価値」とは何かといった意見があがりました。伝統や文化は残すものだといったそもそもの概念に疑問を呈するこの意見は、ハッとさせられました。自分にとっても認識と、他の誰かにおける認識にはそもそも根底から差があるため、その違いも知っていなければいけないのだと痛感した瞬間でした。
三つ目の課題として、山梨県における空き家問題があがりました。山梨県は全国でも有数の空き家大国で、至る所に空き家をにします。それを生かし、地域の人々との交流を生み出せる空間を作ることで、地域住民の繋がりも生まれるのではないのか、といった意見が出た一方で、空き家には段差も多く、住むのが大変だといった意見もあがりました。そもそも、再利用されない時点で何かしらの不利便な箇所があるのではないかとの指摘もあがりました。そうした空き家に関する知識も今後の課題解決のためには必要となってきます。
最後にジェンダーについての課題があがりました。ジェンダーに関して言えば、そもそも学校教育で教わっていないからこそ偏見や個々の主観が根強く残っていること、そうしたマイノリティーに対する対立はマイノリティー側が壁を作ってしまっているのか、マジョリティー側が知ろうとしていないのか、といった意見も生まれました。これらの課題解決のためには、まず世界におけるジェンダーについても調べ、他の地域ではジェンダー問題とどのように関わっているのかを調べることが重要となってきます。
今回生まれた「個々の想い」について、次回以降は根底にある問題を明確にし、捉え直していきます。
■今回のアーカイブリポートは、
やまなし地域づくり交流センター 運営サポートチーム 山梨県立大学2年 氏原陽菜が担当しました。