山梨県立やまなし地域づくり交流センターでは、令和6年度前期のy²セミナーのy²mix異業種交流会に続く第2回目y²basicを開催した。学生や社会人など計39名が参加した。講師には株式会社ボーダレス・ジャパン代表取締役副社長の鈴木雅剛さんをお招きし、「SWITCH to HOPE -地域課題を解決するソーシャルビジネスという手法-」をテーマに講演をしていただいた。
<鈴木さんがソーシャルビジネスを始めたきっかけ>
●鈴木さんは社会問題とは「本人たちの努力では如何ともしがたい“選択肢がない”状態」と定義し、学生時代から社会問題に関心を持っていた。鈴木さんは就職後会社で経験を積み同期の田口さんと起業した。その会社では不動産仲介業を営み収益の1%を寄付するというポリシーを設定し、一年後寄付額は7万円と寄付は出来ても自分たちが社会課題解決に貢献できているのか?頑張る動機を見失ってしまう。そんな中で不動産仲介業中に出会った外国人の方々が直面する問題を目の当たりにし、仕事が直接社会課題に直結するソーシャルビジネスに取り組むようになる。
<不動産ビジネスの経験>
●当時の外国人たちは日本のことが好きで日本に来る。しかし日本人に友達も出来ずに帰国してしまうような状況にあった。その背景にあったのは相手を知らないことにより生じる偏見や先入観であった。ではどうすればそれらが解消されるのか、鈴木さんの出した答えは「時間を共有すること」であった。それを達成するために物件を借り、部屋を整備し外国人と日本人のシェアハウスを運営した。外国人と日本人がシェアハウスを行うことで先述のような外国人が減り異文化への偏見もなくなる、自分たちは事業で収益を得ながら外国人を取り巻く社会課題も改善していくビジネスモデルを構築した。
<コミュニティビジネスの重要性>
●地域は人口減少、少子高齢化、地域コミュニティの崩壊など様々な課題を抱えている。地域コミュニティの崩壊の背景には、生活リズムなどの多様化により各人地域に割ける時間がないこと。人間関係を煩わしく感じること。リアリティのある目的や利害の共通性がないこと。などがあげられる。発想を逆転して地域コミュニティを成り立たせるには時間を使ってでも参加したい。心地の良い人間関係。リアリティのある共通目的、利害関係などを提供すれば地域コミュニティを形成、持続することができる。既存のビジネスモデルは経済が成り立つ人口をもとにしたもので今の地域ではその前提が働かないことも多々ある。中央集権から自律分散型の社会への変革期である現在、分散という非効率な社会状況の中で成り立つビジネスモデルを構成していくことが必要である。地域コミュニティが薄れていく現代で地域コミュニティに意味を持たせるコミュニティビジネスというありかたがこれからの地域では重要になっていくのではなかろうか。
<参加者の声>
●全体の講演を通して寄せられたコメントを紹介していく
「利益追求だけでなく社会貢献性と還元性もある事業が今後の世の中に必要だと感じた。」
「ソーシャルビジネスの社会貢献と直結するありかたが若者の離職率などの低下にもつながるのではないかと感じた。」
私自身も講演を聞いて様々な学びを得た。特に地方におけるコミュニティビジネスの可能性について非常に関心を持った。地縁ではなく地域を好きな人が構成するコミュニティがこれからの地域のカギになってくる、そんな未来が来ることを願っている。
<セミナーの満足度>
●セミナーの満足度は、アンケートによると満足度(満足、どちらかというと満足)が占める割合が100%になった。
●県立やまなし地域づくり交流センターの令和6年度前期のy²セミナーは、6月から「地域課題解決起業支援セミナーy2advanced」が始まりました。どんな事業のアイデアが生まれるか楽しみです!
このレポートは学生サポートチームの渡邉康太が担当しました。